いま開いている企画をひとつ選び、「今回は誰に、何を渡せたら完成か」を一文で書く。
AIに相談すると、やりたいことが次々に形になっていく。記事の構成ができる。画像ができる。作れなかったアプリの画面まで動く。ところが、作業フォルダを開くと、途中の企画ばかり並んでいる。そんな場面について考えてみたいと思います。
作れるものが増えた喜びは本物です。ただ、試作品が増えた分だけ、確かめて仕上げる対象も増えます。AIで着手が楽になっても、どれを完成させるか決める仕事は残る。この差が、プロジェクトの散らかりにつながるのではないでしょうか。
具体的な手順
思いつきを試せることには、ちゃんと価値がある
頭の中にある絵を言葉で伝え、いくつかの案を見ながら好みに近づける。書き出せなかった文章の構成を相談する。AIを使うと、技術を覚える途中でも試せることが増えます。完成前の試作から、自分が何を作りたいのか分かることもあります。
2024年に発表された短編小説の実験では、AIのアイデアを利用できる条件で、作品の新規性や有用性の評価が平均的に高まりました。一方、作品同士は似やすくなりました。ADHDに特化した研究でも、長期の制作を調べた研究でもありません。「ADHDとAIなら創造性が伸びる」とまでは言えません。
試作品が増えても、仕上げの仕事は残る
たとえば、AIでサイトの画面を作ったあとには、文章の事実確認、リンクの確認、スマホでの表示確認が待っています。そこで別の案を試すと、また見た目が変わる手応えがあります。確認作業を残したまま、新しい試作へ移りたくなる場面はありそうです。
NIMHは、成人ADHDでは整理や計画、プロジェクトの完了に困難が生じる場合があると説明しています。もともとその部分で困っている人が着手する数を増やせば、未完了の管理も重くなるかもしれません。これは資料を踏まえた考察で、AIがADHDの人の未完成を増やすと検証された話ではありません。
手順と例を図で整理する

完成させると決めたら、AIへの頼み方も変える
「もっと面白い案を」と聞けば、企画を広げる方向へ会話が進みます。ひとつ仕上げたい日は、先に「今回は記事を1本、読める状態にする」と決めてみます。追加の企画は保留メモへ移し、今の原稿に戻ります。
AIには「新しい案は出さず、この原稿の完成を妨げる点を最大3つ挙げて」と頼む方法があります。提案された修正も、今回必要かを自分で判断します。文章の裏づけや画像、動作を実物で確かめる工程も残します。確認用の依頼に変えても、AIが誤りをすべて見つけてくれるわけではありません。
何を作ったかに加えて、誰に渡したかを見る
完成の条件に「友人に読んでもらう」「自分で一週間使ってみる」を入れると、手元で調整を続けるだけの状態から進めます。相手と日を決めて、そこまでに必要な確認を並べます。見せる直前に機能や章を増やしたくなったら、その追加がなくても相手は使えるかを考えます。
ただ、遊ぶための創作や、技術を試す時間まで完成品にする義務はありません。途中で分かったことがあれば、それも成果です。困るのは、届けたい企画があるのに、別の試作を増やし続けてしまうとき。探索を楽しむ時間と、ひとつ仕上げる時間を、自分で選べるようにしたいのです。
たとえば、こんなふうに
たとえば、記事を書いていたら、動画版と専用アプリも作りたくなった。今日は記事を友人に送る日と決め、動画とアプリは保留メモへ。AIに説明不足を確認してもらい、出典と図を自分で見直して送る。これは編集部が組み立てた例です。
コピーして使う
AIに仕上げの確認を頼む文面
目的と完成条件を書き換えて、確認したい原稿や作業状況と一緒に渡します。AIの指摘は実物や出典で確かめてください。
今回は、[相手]に[完成物]を渡すところまで進めます。 完成の条件:[条件] 新しい企画や機能の案は出さず、今の完成を妨げる点を最大3つ挙げてください。 事実確認が必要な点と、好みの改善案を区別してください。 追加案は保留し、次にする作業をひとつ示してください。
使うときに確かめること
- 今回渡す相手と完成物を決めた
- 追加案を保留メモへ移した
- 事実や動作を自分で確認した
編集部が作成した記入用のひな型です。コピーして、自分の予定や仕事に合わせて書き換えてください。
合わないときは
企画をひとつに絞るのが苦しい日は、残っているものを「続ける・保留・やめる」に分けるだけでも構いません。全部を完成させる必要はありません。仕事の締め切りや生活に影響が出ているなら、AIへの相談に加えて、周囲と作業量や優先順位を相談してください。
出典と、この記事の編集について
AIで創作しやすくなる一方、企画が発散して完成に至らないという、ユーザー提供の問題意識をもとにした編集部の考察です。本人の診断、具体的な制作歴や成功体験を補っていません。AIと創造性の実験、成人ADHDの一般的な困難を背景資料として参照しましたが、両者を組み合わせた因果関係を示す資料ではありません。依頼文、企画の選び方、場面例は編集上の提案で、効果を検証した介入ではありません。
- エクセター大学:AIと短編小説の創造性に関する研究紹介 ↗教育機関 · 本文確認:2026.10.20
参照した範囲:2024年の短編小説制作実験における、AIの案を利用できる条件での作品評価の向上と、作品間の類似性の増加。ADHD、アプリ開発、長期プロジェクトの完了率への効果を示すものではありません。
- NIMH:成人ADHDについて知っておきたいこと ↗公的機関 · 本文確認:2026.10.20
参照した範囲:成人ADHDで整理、計画、課題やプロジェクトの完了に困難が生じる場合があるという一般的な説明。AI使用による未完成の増加や、本記事の対処案の効果を検証した資料ではありません。
この手順は診断や治療に代わるものではなく、ADHDのあるすべての方への効果を確認したものでもありません。


