取りかかる作業を1つ選び、「ここまでできたら渡せる」という条件を3つ以内で書く。
資料の色を整えていたら、文章や図も気になって終わらなくなる。家の片づけでも、棚を拭き始めたはずが引き出しの整理まで広がることがあります。始める動作が決まっていても、終わりが曖昧だと作業は膨らみます。
今回は、着手する前に完成の条件を書いておく方法です。出来栄えを一律に下げるということではありません。その作業を誰が何に使うのかを確かめ、今回必要な範囲を決めます。条件を3つに収めるのが難しければ、まず1つだけでも構いません。
具体的な手順
受け取る人と用途を確かめる
「会議用の資料」という情報だけでは、何を書けばよいか決まりません。状況を報告する資料なのか、それとも選択肢を比べて決めてもらう資料なのかを書き分けます。自分用のメモなら、あとで何が分かれば困らないかを考えます。
依頼された仕事であれば、提出形式や必須の項目を相手に確認しましょう。確認が取れていない部分を、自分の判断だけで削ってはいけません。「今回は数字と結論が分かる1枚でよいですか」のように具体案を添えると、相談する内容を絞りやすくなります。
確認できる条件を3つ以内で書く
「分かりやすくする」「きれいにする」といった目標では、達成できたかどうかを判定しにくいものです。「比較する金額が入っている」「次に決めたいことが1行ある」「送付先を確認した」のように、目で見て確かめられる状態にしておきます。
条件は作業メモの上部に置きます。途中で見失うなら、作業しているファイルの冒頭でも構いません。ただし他人に渡す前には、そのメモを残すか消すかを確認します。職場の機密を私用のメモへ移す必要はありません。
家庭の用事でも使えます。たとえば来客前なら、部屋全体を片づける代わりに「座る場所と通り道を空ける」を今回の条件にします。やらない範囲も決めておくと、別の棚の整理を始めそうになったときに戻る目安になります。
手順と例を図で整理する

気になった追加作業を別に置く
作業中に見つけた修正は、今の条件に必要かどうかで分けます。数字の誤りや読めない文字は直す必要があります。一方、色の別案や追加の参考資料などは「余裕があれば」の欄に短く残せます。
別の欄に書く目的は、その案を必ず実行することではありません。今の作業に混ぜず、あとで必要性を判断できるようにするためです。新しい依頼が加わった場合は、条件も見直し、増えた分の時間を相手と相談します。
条件を満たしたら、渡す動作まで進める
条件を1つずつ確認したら、保存、送付、所定の場所に置くなど、その仕事で必要な最後の動作をします。ファイルができた段階と、相手に届いた段階を分けて考えると、送付だけ残る状態を見つけやすくなります。
提出前の確認が必要な仕事では、その確認も条件に含めます。専門家や上司の確認を省くための方法ではありません。条件を満たしても不安が強いときは、無制限に見直す代わりに、何が未確認なのかを1行にして相談します。
たとえば、こんなふうに
例:社内の打ち合わせに出す比較資料。用途は、候補を2つに絞ってもらうことです。完成の条件は「3案の金額を並べる」「違いを各1行で書く」「確認してほしい点を添えて送る」。配色の変更と図の追加は、別の欄に残します。3つが済んだら送付し、追加の説明は相手の返事を見て考えます。
コピーして使う
完成条件を決めるシート
用途と、相手に渡せる状態を先に書きます。条件は必要なものに絞り、職場で決まっている確認も含めてください。
仕事・提出する物: 受け取る相手: 相手が何に使うか: 期限: 【ここまでできたら渡す】 □ 必要な内容: □ 満たす形式・品質の基準: □ 提出前に必要な確認(誰に・何を): 【余裕があれば考える】 追加したいこと: 今回は見送ること: 【最後の動作】 渡す場所・方法: 渡したか:未/済 条件を満たせないときの相談先:
使うときに確かめること
- 「見やすくする」だけで迷うなら、「金額と違いを並べ、候補を選べる状態」など用途に戻って書く。
- 必要な承認や安全・品質の確認を、追加の工夫と混ぜない。
- 保存しただけで終わらず、相手へ渡す動作まで確かめる。
編集部が作成した記入用のひな型です。コピーして、自分の予定や仕事に合わせて書き換えてください。
合わないときは
条件を書くこと自体に時間がかかるなら、「今日これを渡した相手が、何をできればよいか」だけを答えてみます。安全や品質の決まりがある作業は、その基準を優先してください。期限内に必要な条件を満たせない見通しなら、作業範囲や期限を早めに相談します。
出典と、この記事の編集について
NHSの職場での支援の説明を参考背景とし、編集部が日常の作業に合わせた手順と架空の場面例を作成しました。NHSがこの記事の具体的な手順や分数を推奨したり、効果を確認したりしたものではありません。
- NHS:成人のADHDと職場で受けられる支援 ↗公的機関 · 本文確認:2026.09.26
参照した範囲:書面の指示や、作業の計画・整理を他の人に手伝ってもらう支援を挙げている点。具体的な記録方法、時間配分、場面例は編集部の試案です。
この手順は診断や治療に代わるものではなく、ADHDのあるすべての方への効果を確認したものでもありません。


