最初にやること

よくする作業を1つ選び、始める前の予想と、終わった時刻を同じメモに残す。

作業にかかる時間を考えるとき、手を動かしている場面だけを思い浮かべることがあります。実際にはファイルを探す、内容を確認する、終わったものを送る時間も必要です。短く見積もった予定を並べると、あとからの用事にも影響します。

ここでは、毎日の行動を全部計測せず、繰り返し行う作業を1つだけ記録します。時間を競ったり、自分を採点したりするための記録ではありません。次に似た予定を入れるとき、想像だけで決めないための材料を集めます。

具体的な手順

  1. 始まりと終わりが分かる作業を選ぶ

    「午前の仕事」では範囲が広すぎるので、「経費1件を申請する」「夕食後の食器を食洗機に入れる」などに絞ります。何を始まりにし、どこまでで終わりとするかも決めます。毎回範囲が変わると、時間だけを比べても理由が分かりにくくなります。

    最初は日常で何度か繰り返す、負担の小さいものが向いています。初めての大きな仕事や、他人の返事を長く待つ作業は、記録の仕方を決めにくければ後回しにして構いません。

    家事なら食器の量、事務作業なら処理した件数も手短に書き添えます。同じ作業名であっても、日によって分量は異なるものです。記録を見比べたときに「前回は1件、今回は3件だった」と分かれば、時間が増えた理由を考える手がかりになります。

  2. 予想と開始時刻を短く残す

    作業を始める前に「予想15分、開始10時」と書き留めます。時計をちらりと見るだけでよく、専用の計測アプリをわざわざ探す必要はありません。予想がつかなければ「不明」と書いておき、その回は実際にかかった時間だけを確かめます。

    作業が終わったら終了時刻を書き足します。途中で電話がかかってきたなら、「電話あり」と一言添えておきましょう。細かい中断を秒単位で厳密に記録することよりも、何を含んだ時間なのかがあとから分かる状態を目指します。記録し忘れた回を無理に思い出して埋める必要はありません。

手順と例を図で整理する

作業を1つ選び、予想と実際の時刻を記録し、違いの理由を確認して次の予定に使う。経費申請の例と、数字が負担なときの代案。 詳しい説明は記事本文にあります。
手順・具体例・合わない場合の工夫をまとめました。小さな文字は、画像を押して拡大できます。
  1. 時間の違いが、どこで生じたかを見る

    予定より長くかかっても、単に「遅かった」と評価せず、準備や確認に抜けがなかったかを見ます。書類探しに時間がかかった、入力後の確認が必要だった、途中で別の依頼を受けた、などを書き添えます。

    予想より短かった場合も、その回だけで次の予定を詰めないようにします。対象が少なかった、必要な資料がそろっていた、といった条件があるかもしれません。記録は自分の能力の判定ではなく、その場の条件も含む作業の記録です。

  2. 次の予定に、今回抜けた時間を含める

    同じ作業を次にするとき、前回の時間と条件を見返します。資料探しが含まれていなかったなら準備を足し、途中の電話が特殊だったなら、その事情を分けて考えます。1回の実測を、常にかかる時間として固定する必要はありません。

    何回か記録できたら、短い回と長い回の両方を見る方法もあります。予定に収まらないなら、開始を早める、範囲を減らす、期限を相談するなど、時間の割り当てを変えます。急いで同じ量をこなすことだけを解決策にしません。

たとえば、こんなふうに

例:経費を1件申請する。予想は10分、開始は10時、終了は10時25分でした。メモは「領収書の画像を探した。入力後に内容確認あり」。次回は入力だけの10分で予定を組まず、画像の準備と確認も含めて時間を取ります。画像がそろっている回は、その条件も残して比べます。

合わないときは

時計を意識すると焦る場合は、終わったあとに「思ったより長い・同じくらい・短い」だけ書く方法でも構いません。数字を残すことが負担なら中止します。職場の勤怠や正式な作業記録とは別の個人用メモとして扱い、必要な記録は職場のルールに従ってください。

出典と、この記事の編集について

NHSの職場での支援の説明を参考背景とし、編集部が日常の作業に合わせた手順と架空の場面例を作成しました。NHSがこの記事の具体的な手順や分数を推奨したり、効果を確認したりしたものではありません。

  • NHS:成人のADHDと職場で受けられる支援 ↗公的機関 · 本文確認:2026.09.26

    参照した範囲:書面の指示や、作業の計画・整理を他の人に手伝ってもらう支援を挙げている点。具体的な記録方法、時間配分、場面例は編集部の試案です。

この手順は診断や治療に代わるものではなく、ADHDのあるすべての方への効果を確認したものでもありません。